どこぞのドット打ちのWeb

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私は悪くない。
ある日、私は女友達を見送りました。彼女のお母様が言うには天国へ行ったそうです。
私はそう言ったお母様が泣いているのを見て、ああ、この人はそう言いながらも信じていないのだな、と感じ取っていました。
彼女は虐められていたそうです。私の知らないところで。私と彼女は仲がいいわけでもなく、私が何かを感じる必要もないはずでした。
彼女が亡くなってから1ヶ月ほどはその話をよく聞きました。本当に心を傷めているように見える人物は片手で数えるほどでしょうか。
私は彼女が亡くなったことよりも他に、人の軽薄さを見ているようで嫌でした。
私はどうなのでしょうか。私は彼女を止められたのに、止められなかったのではないでしょうか。誰にでも止められたのではないでしょうか。私は彼女が虐められていたのを本当に知らなかったのでしょうか。ある日下校の際に女子トイレで...見たのではなかったのでしょうか?
キーンコーンカーンコーン...
チャイムの音で我に返り、ボーッとしながら帰り支度を済ませ、ただ流れるように帰路を行く途中、いつもの寂れた小さなテーマパークをチラリと見ました。
テーマパークの入り口にはサビまみれの看板に"天国"と書いてありました。
私はその文字を最近どこかで聞いたな、と思い。ただ吸い寄せられ、いつの間にか入り口に立っていました。
そこで新聞から顔も上げずに、おばちゃんが、
「入るの?」とだけ。
「はい」
「500円」
「はい」私はお金をおばちゃんの前に置き、そのままフラフラとその円筒形の天国に入っていきました。
薄暗く、地面からの灯りを頼りに天国の恐らく真ん中辺りまで来ると、後ろでドアの閉まる音が聞こえました。
そしてすぐにパレードのような音と共に、辺り一面から七色の光がギラギラと漏れ出しました。
私はしばらく眩しさで目を閉じていましたが、光に目が慣れると光源を見ました。
壁一面が動物達の頭部の剥製で埋まっており、その目やら口やらにライトが突っ込まれています。
そしてその剥製は縦向きのベルトに沿って埋まっており、ベルトが上下にガシャンガシャン動きながら、壁全体も建物の円筒形に沿ってクルクル回っています。
私は、これが天国。と、ただ眺めているだけでした。
10分なのか1時間なのか分からない時間が過ぎると、おばちゃんがドアを開けました。
私はトイレの場所を聞き、スタスタとその場を離れました。
トイレで胃の中が空になるまで吐きました。
そして、その日からようやく私は、自分の足で歩くようになりました。